【完結】bitter step!
なるほど、確かに。
福岡は、遠いとこだ。

地図で見たって……、そもそも、島が違う。
軽く海外だ。
飛行機で行くくらいだもん、そりゃあ遠い。


「大学……九州なんですか」


無意識に【福岡】ではなく【九州】と言ってしまったが、その言葉自体がボクの認識を表している気がした。

福岡とはつまりそれだけ遠く未知の土地であり、【九州】という一個の巨大な島の中の一部という程度にしか、ボクはその地名を知らないのだ。


『……そうなんだよ。下見をするにもいちいち遠くて、参るよね』


先輩はいつかみたく、それを冗談にするために笑った。
だけど、失敗です先輩。

何をもってそんな遠くの大学を選んだのか知らないが、本当は地元を離れたくないんじゃないか。
そう勘ぐらずにいられない、それは悲しい笑い声だった。
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