【完結】bitter step!
「なお……っ!? その怪我、どうした!?」

一瞬で顔色を変えた先輩は、ほとんど泣き出してしまいそうな情けない顔で立ち上がった。


普通の感覚では、絆創膏イコール怪我なのだな。
と、今更ながらのんびり考えている内に、先輩はどんどん表情を変えていく。


最初の驚きと心配が過ぎ去ると、絆創膏の原因に思考を巡らせているのか、彼の黒目は右上、左上と定まらずに忙しなく動く。
その綺麗な顔がどう変わるのか、続きが見たくなって質問にも答えずにじっと観察してしまったのは――、

ボクのミスだ。


響先輩は、最終的に般若のような怒りの表情に落ち着いてしまった。

「一体誰にやられた!?」


って、ええええーっ!?

ちょ、待って、待って!!
誰にも何にも、やられてやしませんって!
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