【完結】bitter step!
「お前、何か知ってるのか」

まだ誤解の解けない先輩の目は、射る様に冷たいままだ。
純平を問いただす言葉も、刺々しくて異様に低い声が威圧的で怖かった。


元来ボクの顔の絆創膏にはギャグの要素しかなかったはずなのに、なんでこんな凍りついたような展開に?


純平は先輩の腕を捻りあげたまま、先輩は純平を睨みつけたまま、沈黙のほんの数秒。

動けないままのボクたちを救ったのは、美紗の一言だった。


「落ち着きなさいな、2人とも。会長、なおは怪我なんかしてませんから」

その言葉でやっと、ふっと力の抜けた響先輩。


彼が力を抜いたのを確認すると、彼女は荒々しく先輩を掴む純平の手をぺしっと叩きながら、

「さっさと放しなさい」

とたしなめた。
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