【完結】bitter step!
緩んだ空気に気が抜けて、ボクはフラリと壁際のソファに沈み込んだ。


「ごめんね、なお。怖がらせて」

視線の高さを合わせる様に膝をついた先輩の表情は、もう般若じゃなかった。


「なお、愛されてるなぁー」

ニヤついきながらからかってくる純平も、いつも通りだ。


「まったく、女の子が顔に絆創膏なんか貼るからこんなことになるのよ」

……ついでに美紗の説教も、いつも通りだった。
はは。
これは別に、嬉しくない。


脱力して放心状態のボクに代わり、このふざけた絆創膏の理由を、美紗が丁寧に解説してくれた。

美紗はそれはご丁寧に、まだ純平にも明かしていなかった、ボクがニキビをこさえることになった原因にまで言及したのだ(ボクはそこまで具体的に教えた覚えはないのに、どうやら美紗にはバレバレだった)。
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