【完結】bitter step!
その西洋和菓子なるモノは、皮はミルクの香りがして、中は白あんだった。


「うわっ、何コレおいしい!」

ボクの声ににこりと笑い返し、先輩は次を勧めるようにすっと箱を差し出した。


「お前、1人で全部食うなよっ!」

焦ったように純平が止めに入るけど、

「ボクの弁当がダメになっちゃったのは誰のせい? 純平の分もボクが食べるからね」

当然ボクはやり返す。


そのやり取りを呆れたように笑いながら、美紗が聞いた。

「福岡行かれたんですか? ご旅行で?」


……ボクは、その質問の答えを知ってる。


だから、黙々と西洋和菓子を食べた。

純平が参戦して箱に手を伸ばすのを必死でガードしながら、4個続けて食べた。
美紗がちょっと低い声で、「ニキビ増えるわよ」と忠告するまで。
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