【完結】bitter step!
よーい、ドン! と、勝手にスタートの合図をして、ボクはフライングで恐竜に向かって走り出した。
子供みたいにムキになった純平が、慌てて後から追いかけてくる。


恐竜のモニュメントは元々、ボクたちのお気に入りの遊具だった。
登ったり、お腹の空洞の中に入ったりも出来るスグレモノだ。


何度も繰り返し遊んだあの頃に帰ったみたいに、高校生になったボクらが、バカみたいに本気になっててっぺんを目指した。


恐竜の腕あたりで、純平に抜かれる。

「あーっ! もうっ!」


気付いた時には、彼はもう恐竜の頭に座っていた。

「へへっ、初勝利ッ!」


ピースサインでニカッと笑った純平の白い歯を、ちょうど街灯が照らしていた。
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