【完結】bitter step!
家に帰ってから、白紙のルーズリーフの束を出してがむしゃらに英単語を書き殴った。
何かに憑りつかれたみたいに。

ボクはあくまでも、目の前のテストに頭を悩ませる、出来の悪い一高校生にすぎないから。
だけど苦手な理数系を自力で勉強できるほど優れた学生じゃないから、1人でも出来る方法で無理やりにテストに意識を向けた。


手が勝手にスペルを綴るくらい反復練習が終わってしまったことに気付くと、今度は歴史の年号と出来事を書き殴った。
行間開けずに乱れた文字で真っ黒に埋まったルーズリーフの山が白紙の束の量を超えても、ボクの手は止まらなかった。


……分かってる。


ボクはテストに危機感を感じているからそうしたわけじゃなくて、ただ、考えたくなかっただけ。

何を?


――分からない。


分かっているのは、ボクがただ、何かから逃げたかったってことだけ。
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