【完結】bitter step!
バレンタイン前日だ。
学校はさすがに色めき立っていた。

去年までは他人事と決め込んで気にしないようにしてきた一大イベントを明日に控えて、いわゆる【本気】の子たちがどんな想いでいるのかを、ボクは初めて真剣に考えてしまった。


だけど朝から声をかけてきた女の子を、純平はいつもよりも冷たくバッサリと追い払ってしまった。

「悪ぃけど、興味ねえ」

相手の目も見ず話も聞かずににそんな風に言い捨てる純平を、今まで見たことがない。


半泣きになって走り去っていく女の子の後姿に、少しだけ同情した。

でも、タイミングが悪すぎる。
彼の心情を考えたら、仕方のないことに思えた。
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