【完結】bitter step!
「ちょっと、今のひど過ぎない?」

さすがの美紗も驚いたのか、そう言って純平のジャンパーの裾を引っ張る。

「……いいんだよホントのことだから」

目を合わせずに顔を背けた純平に、彼女もそれ以上は何も言わなかった。


「……そうだよ。大体ボクたちも一緒にいるってのに、失礼じゃんか」

「ッ!」


ボクだって、こんなコト言ったことはない。
美紗にたてついたこともなければ、あからさまに純平をかばったこともない(だって大抵の場合、美紗の言っていることの方が正しいんだから)。

美紗は驚いて息を飲み、純平も意外そうな顔でボクの顔を二度見した。


ボクたちは大抵3人一緒にいて、外から誰かが声をかけようにも、ボクらが1人になるタイミングなどほとんどない。
今までに何人、何十人もが、ボクの目の前で純平と美紗に告白してきた。
慣れっこだったし、正直どうでもいい。


だけど今は、純平の肩を持ちたかったんだ。

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