【完結】bitter step!
「あの」


口から出た自分の声がやけに大きくて、静かな図書室に響き渡った気がした。
ハッとして慌てて室内を見渡し、その時になってようやく気付く。

ああ、今この部屋、ボクと生徒会長、2人きりだ。


そもそもこの時間のここの人気のなさが居心地良くて、美紗と2人純平を待つのにちょうど良いと好んでいた場所だ。
そこに生徒会長が現れて彼女が出て行った今、こうなるのは必然なのだけど。

気付かなかったな、参った。
いや、この状況で周りに人がうじゃうじゃいても困るけど。


――落ち着け、なお。
多分コイツ、何か勘違いしてるだけだから。


「あの、一昨日、先輩の……元カノさん? が、ボクのとこに来て」


多分、彼女がおかしな誤解をして。
それから、変な噂が立ったから。
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