【完結】bitter step!
「何してんだよッ! 純平ッ!」

ふって湧いた気持ちをごまかすように、ぶるぶるっと頭を振って両手を頭の上でバタつかせると、純平は無抵抗の内に頭に乗せた手をどけた。


「あー、いや。……美紗は俺が触っても怒らないのにな」


……えっ?
今の、美紗の反応を見る実験ですか。
(ボクは先輩の反応を、しっかり見てしまったんですが)


「今更でしょう、そんなの」

と、美紗は呆れたように言い捨てた。


ボクも、そう思う。
小さな頃から、当たり前のように、純平はボクの頭をぐしゃぐしゃにしてきたのだから。


それを改めてわざわざ確認して、響先輩の時と比較した純平――。
彼の中にまた少しだけ、不安の芽が育ったのをボクは感じた。
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