【完結】bitter step!
小瓶を受け取って匂いを嗅いだ母は、その強烈な甘ったるい香りに鼻をやられたのかきゅっと顔を縮めた。
一瞬にして顔のパーツが中心に寄ったのを見て、ボクは思わず吹き出した。


母はボクが言ったことを真に受けたのか、小瓶から1滴、手の平にたらす。
それをしっかり確認してから、

「やめといたほうがいいよ」

と忠告した。

はあ? と怪訝な顔をする彼女をこれ以上騙すのは……面白いけど、後が怖いのでこの辺で。


「それ、香り付けのためのものだから。ヒドい味だよ。舌やられるよ」


ネタを明かすと、母は鼻の下をぐっと伸ばして口を歪めるという変顔で不満を訴えてきた。
……うん、この親にして、この子ありだなやっぱり。
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