【完結】bitter step!
時折母と言葉を交わしながら、ついに主役登場の段階までやって来た。


これがなくてもクッキーにはなる。
だけどこれがなければ、ボクがイベントに参加したことにはならない。


小さな小さな、チョコレートの粒。
これ1つ1つが、大事な主役だ。

ボクはそれを生地に投入する前に、1粒だけつまんで口の中に入れた。


「アレ?」

……あんまり予想外だったので、思わずそんな言葉が漏れた。


「どうしたの?」

と母が聞いてくるが、

「……ううん、何でも」

答えない。
別に隠したわけじゃなくて、大したことじゃないと思っただけだ。
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