【完結】bitter step!
美紗は、はっきりと『壊す』と言った。
何を指してそう言っているのか、反応が遅れたボクの頭では分からない。


右手に持ったままだった箸をギュッと握りしめて、ボクは、響先輩が静かに言葉を紡ぎだす瞬間まで俯いて沈黙に耐えた。
純平の様子を気にする余裕は、最早なくなっていた。


「……君は誰かを傷つけることを分かっていて、それでも行動に移すと決めたんだね」

衣擦れの音と気配で、美紗が無言で頷いたのが分かった。

「それなら僕は」

響先輩は、穏やかに言葉を続ける。

「君の決意が間違いだとは思わない」


何の話をしているのか、ボクにはまったく分からなかった。
ただ【怖い】と――、

耳を塞ぎたい衝動と必死に戦っていた。
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