【完結】bitter step!
【何が】を、先輩は明言しなかった。
それは、一度に色んな人の気持ちを思いやることの出来る、先輩の優しさの表れのようにも感じられる。


純平と美紗が、うまくいけばいいと思ってる。
願っているはずなのに、ボクはそれを――、怖がっているんだ。
先輩には、それがお見通しのようだった。


「……だけどもしも君が傷つくようなことがあったら、その時は――……」


静かな生徒会室内に、先輩の穏やかな声だけが透き通るように響いた。


「僕が君を守りたい」


その言葉だけでも、不安は少しだけ軽減された。
だけど差しのべられた救いの手にすがる事は、どうしても躊躇われた。


だってボクは、彼に返事すらしていないのに。
甘えていいはずが、ない。
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