【完結】bitter step!
「――なんて、図々しいか」

ボクが黙っていたせいか、響先輩はふっと息を吐き出してそう呟いた。
その悲痛な声色に反応したように、ボクの目玉が意思に反してギョロギョロと目まぐるしく動くのを自覚する。


「ごめん、なさい……。ボク、返事を、まだ」

「いいんだ!」


引き延ばしていた返事は、今するべきなのかもしれない。
そう思ったボクの言葉を、先輩は少しだけ声を荒げて遮った。


「いいんだ、まだ……。今聞いたって、答えは分かってるから」

両肘を机につき、交互に組み合わせた指の上に額を押し付けて――、

先輩は、まるで懇願するようにそう言った。

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