【完結】bitter step!
期待なんて、しないで。

そう言ってしまえば、簡単に終わらせられることなのに。

言葉は、出てこなかった。


【本気】の言葉は、こんなにも重くて。
言い寄ってくる相手をバッサリと切り捨てられる純平や美紗を、少しだけ羨ましく思った。


「ごめん」ともう一度先輩が謝って、その気持ちは決して罪ではないはずなのに――、誰かを想うだけで、人を傷つけることがあるのだと、ボクは初めて知った。


ああ、そう言えば。
美紗も【誰か】に想いを伝えることが、【誰か】を傷つけると――【何か】を壊すと、確信していたようだった。

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