【完結】bitter step!
「……ダメですよ、2人が戻ってくるの待たなきゃ」

「――だめ?」

「駄目です!」


揺れる気持ちを誤魔化して怒ったフリで語気を強めると、先輩はお預けを食らった仔犬みたいにシュンとする。

……やめてよ、その目。


――ふわふわの髪に、触れたくなる。
小動物を可愛がるみたいに、撫でて悦ばせたくなる。

なに、この欲求。


まるで――……、

ッ!



不意に気付いた、事実。

ボクのこの感情は、美紗に対するソレと、非常によく似ていた。
そして連鎖するように気付く、また別の事実。


美紗と響先輩は……、似てるんだ。


ああ、それが、ボクが先輩を無下に出来ない理由なのかもしれない。
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