【完結】bitter step!
「――思い出したよ」

沈黙を破って吐き捨てた言葉を、美紗は辛そうに笑って受け止めた。


「ごめんね、なお。――怖かったのよ、私」

――何が?


「なおが、どこかに行ってしまうのが」

――それでボクを、縛り付けたの?


「最初はそうだった。ただそれだけだった」

――最初は?


「依存していたんだと思うの」


【依存】。
美紗が静かに続ける独白の中から、ボクはそのキーワードを拾い上げた。


ああ、それはボクも、同じなのかもしれない。
美紗がボクに強さを求めて、ボクはそこに、自分の存在意義を見つけたのだから。
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