【完結】bitter step!
ずっと背を向けているわけにはいかない。

生徒会室のドアの方へと、身体を向け直した。
ボクの意思に反して、その動作はひどく緩慢だった。


正対すると先輩の視線が、ボクの頭から足に向けてゆっくりなぞっていく。
そして真中あたりで――、ちょうど、手の高さまで視線が下りたところで、その目が大きく見開かれた。


小さく口を開いて何かを言いかける先輩の喉のあたりを、ボクはぼんやりと見つめていた。
説明するとか、誤魔化すとかといった考えは浮かんでこなかった。


浮かばない?

違う。
意味がない。


純平も、先輩も、取り繕う間もなく、一瞬で分かってしまったのだから。
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