【完結】bitter step!
「5、6限、なんだった?」

「歴史と、物理」

そう答えると、純平はカバンを漁ってノートを2冊取り出し、テーブルの上に広げた。


「見して」

そして顔も上げずに、手だけを伸ばしてボクのノートを要求する。

無言で手渡したノートを純平も無言で受け取って、無言で書き写しだす。


静かな部屋にカリカリとペンを走らせる音だけが響く雰囲気は、少しだけ図書館の自習室を思い出させた。


あの部屋に入るかどうかの選択権は、こっちにあった。
ボクらは入らなかった。
『ここはちょっとね……』それがボクらの、共通認識だった。


だけど今、ボクに選択肢はない。
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