【完結】bitter step!
揺れる目が、クマを凝視する。


「お前やっぱ――、」

やっぱり、……何?

「女、なのにな」

反射的に、椅子を倒す勢いで立ち上がっていた。


「ぶっさいくだな、コレ」

そう言って弱々しく笑う純平のそばに、今すぐ駆け寄りたい衝動が突き上げる。


「似てるでしょ……純平に」

短く声を出して、純平は笑った。
音を立てずにそっとクマをテーブルの上に置く、彼の姿が、痛々しい。


「こっち来れば」


近寄ることを許された後のボクの行動は、自分でも驚くほど速かった。

ミニテーブルを蹴飛ばす勢いで除け、純平の隣に並ぶように寄り添ってベッドにもたれかかった。
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