【完結】bitter step!
「悪かったな」

すぐ横で俯いたまま純平が絞り出した声は、少しだけ震えていた。


何故謝るの?
純平は何も悪くないのに。


「お前も辛いだろ」

ボクが純平を、慰めなきゃいけないのに。


「女、なのにな」

ボクが男みたいだから。
全部、ボクのせいなのに。


「――お前は、何にも悪くねえよ」


今にも泣き出しそうな掠れる声が紡ぐ言葉は、全部、ボクが欲しかったものだった。

ボクは何も返せないというのに。
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