【完結】bitter step!
純平の目の中で、激しい感情が揺れている。

抗えない本能も、それに逆らった嘘も、全部彼自身だから。


「いいよ」

もう一度、同じ言葉を繰り返す。

いいよ。
それが、純平を救うなら。


一瞬だけ苦悶に顔を歪ませた純平の目が、鋭く光った。

そう、――迷わなくていい。
傷付ければいい、ボクを。
責めればいい。


「女なのに……ッ」

「!」


純平は、大きな両手のひらでガシッとボクの首の後ろ、耳、後頭部を固定して引き寄せた。
いつもよりずっと乱暴な扱い。
それでも彼は、ボクを責める言葉はひとつも投げつけなかった。


ただ、その冷たい目だけが、ボクを刺す。


怖い――と、思わないわけじゃない。
だけどこうすることでしか、救えない気がしていた。
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