【完結】bitter step!
再び携帯が震える。
今度は間違いなく、ボクの携帯だった。
その微かな振動音を純平も捉えたらしく、伸びかけの手がビクッと反応して宙で止まる。
その時になって不意にジンとした痛みを下唇に感じ、さっき切ったのだとやっと気付いた。
親指で痛む場所を拭うと、うっすらと血が付く。
純平は、コレを気にして手を伸ばしかけてたのか。
「なお」
「……ん」
何を話せば良いのだろう。
そんな風に後悔した顔をされたら。
「ワリ……」
「別に平気だよ、コレくらい」
親指に着いた血を舐めながら、そう言った。
彼が謝ったのは、唇の怪我のコトじゃない。
それくらい分かっていたけど。
――謝ってほしく、なかった。
今度は間違いなく、ボクの携帯だった。
その微かな振動音を純平も捉えたらしく、伸びかけの手がビクッと反応して宙で止まる。
その時になって不意にジンとした痛みを下唇に感じ、さっき切ったのだとやっと気付いた。
親指で痛む場所を拭うと、うっすらと血が付く。
純平は、コレを気にして手を伸ばしかけてたのか。
「なお」
「……ん」
何を話せば良いのだろう。
そんな風に後悔した顔をされたら。
「ワリ……」
「別に平気だよ、コレくらい」
親指に着いた血を舐めながら、そう言った。
彼が謝ったのは、唇の怪我のコトじゃない。
それくらい分かっていたけど。
――謝ってほしく、なかった。