【完結】bitter step!
「行くよ。ちゃんと。普段通りに」
純平は唇を噛んで顔を歪めた。
「大丈夫。ちゃんと忘れるから」
言いながら、自分が笑えているのかどうかはよく分からなかった。
何か言いたそうな純平と、無言で視線が絡む。
――10……15……20秒。
彼がのろのろと荷物をまとめ始めるまでに、それだけ時間を要した。
帰り際はいつもなら玄関まで見送るけど、今日はさすがに立ち上がる気力もなかった。
帰り支度を終えた純平を、ボクはそこから動かずに、黙って見上げるだけ。
「悪かった」
こっちを見ずに、ボクに背を向けてドアに手をかけたまま、最後に小さくそう言い残して彼は部屋を出て行った。
純平は唇を噛んで顔を歪めた。
「大丈夫。ちゃんと忘れるから」
言いながら、自分が笑えているのかどうかはよく分からなかった。
何か言いたそうな純平と、無言で視線が絡む。
――10……15……20秒。
彼がのろのろと荷物をまとめ始めるまでに、それだけ時間を要した。
帰り際はいつもなら玄関まで見送るけど、今日はさすがに立ち上がる気力もなかった。
帰り支度を終えた純平を、ボクはそこから動かずに、黙って見上げるだけ。
「悪かった」
こっちを見ずに、ボクに背を向けてドアに手をかけたまま、最後に小さくそう言い残して彼は部屋を出て行った。