【完結】bitter step!
彼の右手が、そっと伸びてくる。
優しく、躊躇いがちに、その中指がボクの下唇に触れた。
瞬間、ドクリと強く心臓が打つ。
背筋を何かが走り抜けた。
純平が同じように唇をなぞった時には、起こらなかった感覚が。
いやだとは、思わなかった。
けど、先輩と純平が触れた時の違いがなんなのかは分からない。
痺れるような感覚は、一度乾いた傷口がまた開いたせいだろうか。
「血が――。大丈夫?」
ボクを心配して心を痛める響先輩から、全てを包み込むような優しい目から、彼の泣きぼくろから、
ボクは耐え切れなくなって目を逸らした。
答えなきゃ、と気が焦っても、さっきとは別の何かがつかえて言葉にならない。
ただこれ以上心配させたくなくて、その思いだけで首を縦に振った。
優しく、躊躇いがちに、その中指がボクの下唇に触れた。
瞬間、ドクリと強く心臓が打つ。
背筋を何かが走り抜けた。
純平が同じように唇をなぞった時には、起こらなかった感覚が。
いやだとは、思わなかった。
けど、先輩と純平が触れた時の違いがなんなのかは分からない。
痺れるような感覚は、一度乾いた傷口がまた開いたせいだろうか。
「血が――。大丈夫?」
ボクを心配して心を痛める響先輩から、全てを包み込むような優しい目から、彼の泣きぼくろから、
ボクは耐え切れなくなって目を逸らした。
答えなきゃ、と気が焦っても、さっきとは別の何かがつかえて言葉にならない。
ただこれ以上心配させたくなくて、その思いだけで首を縦に振った。