【完結】bitter step!
「ボクが、望むなら?」

気になった言葉を拾って聞き返す。
すると、「まあ、その」と響先輩は歯切れ悪く口ごもった。


「……なおが嫌がるようなら、絶対に無理やり近づくなと釘を刺されたというか」

少し不機嫌そうに吐き出されたその言葉に、思わず吹いた。

みんな、ボクの気持ちを尊重してくれてるんだと思う。
そこは素直に、喜んでいいことなのだろう。


「だから――、なおさえ良ければ、ね」


先輩が勉強を見てくれるという提案を、聞いたのが今日じゃなければ、ボクは断っていたかもしれない。
だからここに、狡い気持ちがあるのは確かだ。


「――お願いします」
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