【完結】bitter step!
学校が見えた頃に美紗が呟いた。

「勉強会――……」

その先を聞かずに遮った。

「ボク、響先輩と約束しちゃったから」

美紗は少しだけ肩を落とした。


『しばらく会わないつもりだった』美紗は、だからこそボクのテスト勉強を響先輩に託しておいたのだろう。
純平の説得があって『しばらく会わない』が覆された今となっては、彼女は今まで通りの勉強会を期待したのかもしれなかった。


残念だけど今のボクには――、それは、無理だ。


「は?なんだよ約束って」

事情を知らない純平が顔をしかめた。


「先輩が勉強教えてくれるって」

大分簡略化したボクの説明に、純平は納得がいかない表情でさらに質問を重ねた。

「なんで先輩が――」

「私が頼んだのよ」

最後まで言わせずに、美紗がその質問を遮断した。
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