【完結】bitter step!
ドアに手をかけ、ゆっくりとスライドする。

「失礼します」

ホワイトボードで遮られた視界の向こうの空間へ、儀礼的に声をかけた。


相変わらず歩みの遅い足はそれでも中へと勝手に進んでいき、徐々に部屋の中が見えてくる。


正面の長机のど真ん中の席で、

「ウェルカーム! 迷える子羊たちよ!」

両手を大きく広げた、ちっさいサルが甲高い鳴き声をあげた。


――ちっさいサル!?

奇怪な言葉を叫んだのは、揉み上げだけがやたら長い茶色の短髪、唇の斜め上あたりに目立つホクロがある、人懐っこそうなクリクリした目を持った、……サル顔のチビだった。
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