【完結】bitter step!
「聞いてくれる?」

と、放っておいたら入院生活の愚痴でも始まりそうだ。
慌てて「お勤めご苦労さん!」とそれを遮って、弁当のフタを開ける。


話の腰を折られたことなど全く意に介さない様子の梶原は自分も弁当を出しながら、さっきから気になっていたらしいことを聞いてきた。

「ところで高岡と小早川は? 一緒じゃないの?」


どのような引継ぎがあったかは知らないが、響先輩はプライベートなことまでペラペラとしゃべる人ではないだろう。
今日もここに【3人】来ると、梶原は聞いていたに違いない。


「まあ、もうバレンタインも過ぎて落ち着いたから、かくまってもらう必要もないってさ」

嘘は吐いてない……よな?


けど、昨日あんなことがなければ、今日もこの部屋に集まっただろう。
昨日の午後は授業にも出ていなかった純平に声をかけそこなった女の子たちが、1日遅れのタイミングを見計らっていたのをボクは知ってる。
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