【完結】bitter step!
3人の世界――そう言えばこの日、すでにフラグは立っていた
バレンタイン、とか呼ばれる、はた迷惑な女子イベントが近づいた2月の始め。

空は雲ひとつなく晴れ渡って太陽がさんさんと照りつけてはいるものの……いくら陽が当たってるとは言え、外は身を切るような寒さだ。


グレーのダッフルコートのフードをすっぽり被って身体を縮ませながら、ボクは冷え切ってかじかんだ右手に箸を持つ。

……この寒空の下、何故か水の抜かれた屋外プール脇のベンチという場所で。
膝の上に弁当を広げて、ボクは今まさに弁当を食べている。
全く正気の沙汰とは思えない!


微かに震えだした箸では上手くウインナーが掴めずに、さっきからコロコロと逃げられてばかりだ。

――あぁもうめんどくせ、刺しちゃえ。
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