【完結】bitter step!
キッチンに駆け込み、冷蔵庫から出した冷えた麦茶をコップに注いで一気飲み。
ついでに冷蔵庫に頭を突っ込むと、火照った顔がすうっと冷やされていく。


「こら、何やってんの。いくら探したって今日は牛乳と麦茶しかないよ」


……存在を忘れてた、母の言葉が背中に刺さった。
おかげで一気に冷静さが戻ってくる。


「先に言っといてくれたらお客さん用に何か用意したのに」


今振り返れば、きっと――、

やっぱり。
案の定の、ニヤけ顔だ。


「彼氏?」

「ち、が、うっ!」

「じゃあ、好きな人?」

むしろ逆!!

……なんて言ったら、余計悦ばせるだけだ。
ピクリと頬が引きつるのを感じながら、麦茶を注いだコップを2つ持って、さっさとキッチンから脱走した。
< 503 / 707 >

この作品をシェア

pagetop