【完結】bitter step!
部屋のドアの前で立ち止まる。
両手にコップを持っているから、開けられないしノックも出来ないじゃないか。

なるほどこういう時のためにお盆というものが存在するのかと、内心で舌打ちした。

このまま突っ立ていても仕方ない。
頭はもう冷えたか?
うん、大丈夫。


「せんぱーい! ドア開けてくださーい」

呼びかけた声に応えてドアを開けた先輩の鎖骨が目に入っても、さっきみたいにクラッとは来なかった。

やっぱりお茶には精神を落ち着かせる作用が……って、ボクが飲んだの、緑茶じゃないし!


無駄に高ぶった感情の名残が、まだ少しだけ思考回路を乱していた。
今日が勉強会で、先輩が真面目な先生じゃなかったら、ボクはまたおかしなことになっていたかもしれない。
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