【完結】bitter step!
「やべえ」

と、いつもより乱暴な先輩の言葉づかいが不意に届いた。
不審に思って凝視すると、

「やっぱ、甘いかも」

彼はそう言って、残っていたお茶を一気に飲み干した。
赤い顔がなかなか元に戻らない先輩は、せわしなく視線を泳がせていた。


「……先輩、ウブですね」

『初心』と最初に言ったのは美紗だったな、と思いながら、たまらず漏れそうになる笑いを堪える。


「……悪かったね」

拗ねた表情、もう少し観察してみたいという不埒な欲求もふつりと湧いたけど、

「口直しにコーヒー淹れてあげますね」

やりすぎたらこっちが居たたまれなくなってしまうから。
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