【完結】bitter step!
空いたケーキの皿とカップを重ねて立ち上がった。
部屋を出ようとすると、

「――……ブラックでお願いします」

顔を見られまいとでもするようにそっぽを向いたまま先輩がそう言う。

なんだか凄く可愛くて――
その『照れ』が伝染する予兆を感じ取って、ボクは慌てて部屋を後にした。



「あら、休憩おしまい?」

リビングに顔を出すとすかさず母の声がかかる。

「あと、食後のコーヒー飲んだら再開かな」

「夜まで続くんなら、彼の分も夕飯用意しようか」

「は、夕飯!? いらないよっ!」


ニヤニヤした母の視線が暑苦しくて、ボクは熱いコーヒーじゃなく冷たい麦茶にしようと決めた。
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