【完結】bitter step!
……違う!

「好きなんかじゃ……ッ」

「恋愛感情の話をしているんじゃないよ」


それでも、違う。
ボクは、美紗が――


『小さい頃はなお、私のこと嫌ってたのよ』


「大嫌いだった!!」

思いを吐き出すように叫んだ。
取り乱した手がグラスを弾いて、飲みかけの麦茶がテーブルに広がった。


息が浅く短く乱れた。
心臓が激しく鼓動した。
指先が細かく震えた。
汗が顎を伝った。
視界が霞んだ。


霞がかった視界の中で、ボックスティッシュを引き寄せた先輩が、麦茶を綺麗に拭き取っていくのが見えた。
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