【完結】bitter step!
「彼女が好きになったのは」
先輩の両手が、真っ直ぐに伸びてくる。
ソレがボクの両頬を包むように触れたのと、ボクの喉が鳴ったのは同時だった。
「きっと、『岸本直』という1人の人間だよ。男とか女とか、関係ない。なお自身だよ」
目が逸らせなかった。
この人は、ボクの不安をあっさりと取り除く。
『男の子みたいになりたい』とか『ならなきゃいけない』とか、『本当は女の子なのに』とか。
全部、ボクが勝手に難しく考えて、勝手に自分を見失っていただけなんだ。
拠りどころを失くして、誰かのせいにしたくて、出来なくて、苦しんでもがいた。
ちゃんとボク自身を見てくれている人はいたのに。
近くに、いたのに。
先輩の両手が、真っ直ぐに伸びてくる。
ソレがボクの両頬を包むように触れたのと、ボクの喉が鳴ったのは同時だった。
「きっと、『岸本直』という1人の人間だよ。男とか女とか、関係ない。なお自身だよ」
目が逸らせなかった。
この人は、ボクの不安をあっさりと取り除く。
『男の子みたいになりたい』とか『ならなきゃいけない』とか、『本当は女の子なのに』とか。
全部、ボクが勝手に難しく考えて、勝手に自分を見失っていただけなんだ。
拠りどころを失くして、誰かのせいにしたくて、出来なくて、苦しんでもがいた。
ちゃんとボク自身を見てくれている人はいたのに。
近くに、いたのに。