【完結】bitter step!
ボクの両手の中から、すっと先輩の手が引っ込んでいった。

え……もしかして、傷つけた!?


「そうじゃなくてッ!」

「え?」

「さ、触られたのがやだったんじゃなくて……ちょっと、ち、近すぎて」

「ああ……ごめん、やだったよね」

「ちが……ッ! は、恥ずかしいから!」


一気に上昇する顔の温度が居たたまれなくて、ギュッと目を閉じた。
うう、こんなこと言わされるなんて恥ずかしい。

けど、彼を傷つけるくらいなら、その方が何倍もマシだ。


どうしてこんな時に……、先輩は真剣にボクの心配をしてくれているのに。


顔を伏せたまま上目で様子を窺うと、わざとらしい咳払いが聞こえて頭の上にぽすっと手のひらを乗せられた。


「もう、大丈夫だよね。僕ともこうして普通に話せるんだから」
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