【完結】bitter step!
どくん、と、心臓がひとつ大きく打った。


顔を上げようにも、先輩の手のひらに邪魔されて、下を向かされたまま動けなかった。
彼はここから先の話を、この体勢のまま聞かせたいのだと、なんとなく悟った。


ボクの目を見たくないのか、それともボクに見られたくないのかは分からないけれど。
それでも、このまま下を向いて聞かないといけないのだと、うっすらと理解した。


「うらやましいよ、小早川さんが」

先輩の声が、掠れる。


「なおにこんな風に本気で悩んでもらえるんだから」


――それは、さっき【生徒会長】の顔の下に隠された、響先輩の本音だった。
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