【完結】bitter step!
脳天から背筋にかけて、得体の知れない衝撃が走り抜けていった。

――なかったコトにしよ――
――ボクも忘れるから――


なかったコトになんか、出来ない?


「そ、れは……ッ」

どういう――?


『簡単に忘れられるワケねぇだろ、あんな……』

機械越しの会話は、顔が見えなくて

『お前は本当に忘れられたのかよ』

怖い。


『なあ。忘れられるのかよ』

純平の気持ちが、見えない。


「でも……だって」

『おかしいだろ』

「なに、が」

『じゃあなんで、お互い目ぇ逸らし合ってんだ』


見えない。
分からない。
――怖い。


『なかったコトになんか出来ねぇんだよ』

「じゃ……、どう、すんの」


声が震えるのが、緊張なのか、恐怖なのか、ボクにはもう分からなかった。
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