【完結】bitter step!
電話越しに耳に届く雑音が、純平の動揺を伝えた。

彼が絞り出した第一声は

『――は……っ?』


ボクはそこに、追い打ちをかける。

「好きなんだ、純平のコト」

逃げ道を奪う。


『ば……ッ、馬鹿か、お前っ! そりゃ……、ねえよ! マジで、ねぇよソレは!」


馬鹿、か。
いいや、それでも。
逃がさない、もっと追い詰めてやる。


「いいから答えてよ。ねえ、どうするの?」

引き出したい。
純平の、本心を。


『どうもしねぇよ! 馬鹿か。付き合えるワケねえだろ!』

付き合えるワケない?
何故。
それは、

「美紗が好き、だから?」

『――ッ!』


聞きたいんだ。
純平の本音が。


『ちげぇよッ!! それが無くてもだ!』

「それが、なくても」

『なくても!』

「……なんで?」


ほら、聞かせてよ、早く。
知りたいんだ、ちゃんと。


『なんでって……、お前、友達なんだよ! 恋愛対象とかじゃねえよ!』
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