【完結】bitter step!
「なんで分かるの? 美紗が純平にそう言ったのかよ」

それでも簡単には払拭されない感情を、責める様に吐き出す。


ああ、これじゃただの八つ当たりだ。
分かってはいても、こぼれてくる言葉は制御できない。


「純平は美紗のことが好きだから、庇いたいだけなんだろ!? お前、どうせアイツの味方なんだよな!」

掴まれた右手の拳を握りしめ、自由を求めて右腕がどんなに暴れても、男の力には敵わなかった。


「離せよ! お前だってアイツのところに行っちゃえよ! 放っておけよボクのことなんか!!」


ボクの暴言を――、心にもない愚かな嘘を、純平は黙って聞いて。

そして、――笑った。
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