【完結】bitter step!
響先輩の教え方は丁寧で分かりやすかったし、もちろんスパルタなんかでもなく、彼は常に彼らしく優しかった。

たったひとつの問題は、先輩が必要以上に――つまりボクの能力の限界を超えた結果を求めるくらいの、超完璧主義者だったってことだ。
とは言えむろん、別に満点を強要してきたわけじゃあないが。


先輩は、教えた通りの正解を導き出せないボクを責めたりは決してしなかった。
その代わりに責めたのは、彼自身の指導力の無さだった。


「ボク、週末にやった物理の過去問で42点取ったんだ」

教室を出て廊下を歩きながら、2人に説明をする。

「え、すげーじゃん! お前物理はいつもボーダーぎりぎりなのに」

「42点ならまず赤点はないわ。……なおの過去最高得点じゃない?」
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