【完結】bitter step!
「先輩! どうしたの?」

「ちょうど、終わった頃かと思って――。お疲れ様、なお」


ふわりと微笑むその人は、今日もやはり、ノーネクタイだ。
ネクタイはきっと、彼の学校用の正装なんだ。


「どうだった? テスト」

「……全力は、尽くしました」

でも、自信はない。

言外にその意味を込めてちょっとだけ視線を落とす。
胸を張って出来たと言い切れないのが、教えてくれたこの人に申し訳なくて。


「……それでいいんだよ、なお。結果は後から着いてくるものだから。全力で頑張ったことに意味がある」

ぽんと、ボクの頭に先輩の手が乗った。

久しぶりのその感触と、頑張ったことを認めてもらえたのが嬉しくて、自然と顔がにやけた。
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