【完結】bitter step!
馬鹿にするにもほどがある。
アレが冗談だったなんて嘘を、ボクらが信じるわけがないのに。

そんなに誤魔化したいのか。
本音をぶつけ合うのが怖いのか。

じゃあなんで、髪なんか切ったりするんだ。
これ見よがしに!


アレが冗談だったなら、不本意なタイミングで美紗に告白した純平の立場は?
ボクの――ファーストキスは、無駄に失ったと?

納得のいかない理不尽な美紗の言い草に、ボクの握りしめた拳はぶるぶる震えた。


それを

「ま、ホラ。4月並みの陽気だから?」

ギュッと純平が握ったから、震えはぴたりと止まる。


代わりに彼と視線が絡み、探り合う。


――分からない。
純平の瞳の中に、答えなんか、あるわけがない。
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