【完結】bitter step!
教えてよ、と冗談で言ってみると、彼はすっと一歩下がって上から下までボクをまじまじと見つめる。
しばしの沈黙の後に、ニヤリと口角を上げて梶原は言い放った。

「岸本には、まだ無理」


……殴っちゃおうかな、コイツ。
だけどボクの殺気を感じ取ったのか、梶原はさっさと話題を差し替える。


「それよりさー、岸本。ギブアンドテイクといかないかい?」

「――は?」

彼は唐突な切り替えしに反応がついてこないボクを面倒そうに一瞥してため息を吐いた。


時計を確認しながら「もう次の授業始まるな」と独り言のように呟いてから、

「続きは昼休み。別館の空き教室で待ってるねん」

と、笑いながら片手をあげて立ち去って行った。
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