【完結】bitter step!
「何考えてんだ、お前ら」

珍しく本気で腹を立てた様子の純平が、ボクと美紗の腕を片方ずつ引き寄せた。

「嫌いじゃなかったら付き合うとか、好きだから付き合うとか、アホか」


……なんで?
前者の意味くらいは、さすがにボクにだって理解出来る。

でも好き同士って、付き合うものなんじゃないの?
だって純平だって――。


「純平は美紗のこと好きじゃないの?」

問えば、

「好きだよ」

と間髪入れずにはっきりと答えるクセに。
だったら!


「お前のことも好きだ」


……何、それ。
真面目な顔してそんなこと言われても、超ウケるんですけど。


「純平、タラシ? 遊び人? 女なら誰でもいい人だったっけ」

あれ、そもそもコイツの中では、ボクは女にカウントされてんのか?
真剣に言われたって、突っ込みどころが満載すぎて、逆に笑おうにも笑えない。


また、純平の舌打ちが聞こえた。
美紗は黙ってボクらの顔を交互に見ていた。
< 65 / 707 >

この作品をシェア

pagetop