【完結】bitter step!
――『それは、恋よ』

あの時美紗にそう言われていなければ、気付きもしなかっただろうその気持ちを。
先輩のネクタイを梶原に渡したくないと思ったあの日、はっきりと自覚した。


ヒントをくれたのは美紗だけど。
それよりもずっと前から、本当は――。


「別に、美紗に言われたから好きになったんじゃないから」

だから、美紗のせいじゃないんだ。

「自分を責めないで」

「……だけどっ!」


だけど、『許せない』?
先輩が、違う女性と一緒にいたから?
ボクを傷つけるから?


「ちょっと……何笑ってるの? なお」
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