【完結】bitter step!
「テストの順位、すごい上がったよ」

報告すると、前を向いたままだけど、先輩の目が嬉しそうに光ったのが分かった。


「本当に? なおは良く頑張ったからね!」

良かった、と微笑む彼に

「母さんが、先輩のおかげだって大はしゃぎしてたよ」

と教えてやると、先輩が咳き込んで、車が大きく左右に揺れた。


「危なっ! ちょっと、先輩ッ」

「ごめ……、あんまり、動揺させること言わないで」

初心者なんだから、と眼鏡の位置を直しながら先輩が言った。


本当は続きがあって、母さんは先輩にお礼がしたいから家に呼べとずっと言っている。
けど、今言うのは危険そうだから、黙っていよう。


慎重で丁寧な彼の運転は、そうは言っても、その後ほとんど乱れることがなかった。
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